日本は本当に「起業家に冷たい国」なのか?

先日、TechCrunch Japanese の日本へ経済を立て直すには失敗した起業家を尊重せよ という記事に関してのエントリー をこのブログでも書いたが、何か有名なブロガーさんの間などでも議論になっていたよう。








日本は本当に「起業家に冷たい国」なのか? ~ TechCrunch Japanse 

元記事に取り上げられているドイツも日本も、ともに第二次世界大戦における敗戦国であり、銀行が預金を集め、それを企業に貸し付けるという間接金融によって、戦後の焼け跡から急速な復興を遂げた。このため、金融を中心とする社会のしくみや考え方全体が「銀行的な考え方」に偏っているのは事実だ。すなわち、「確実に」収益を生むものに資金を回し、返済や利払いが行えないものにはペナルティを与えるという銀行的なファイナンスの考え方が、社会のあちこちに浸透している。

このあたりのご指摘は、さすがのご指摘。
社会全体として、「リスクの高いものにはお金は貸しません」ということが多いし、自治体が行う起業家研修などでも制度融資紐づいていたりして、銀行的なファイナンスしかお金に関しては出てこないということのほうが多い。

しかし、戦後の復興期や高度成長期と違って、銀行は株式市場からのプレッシャーやいわゆるBIS規制を受け、取れるリスクは限定されてきている。また今、世界は国境なきグローバルな競争に突入しており、日本において「確実に成長する事業分野」などというものにはほとんどお目にかかれない時代となっている。こうした時代に、これ以上銀行から資金を既存企業に流そうとしても無理があるのだ。今必要とされているのは「確実に収益があげられる(リスクの小さい)事業」ではなく「やってみないと結果は誰もわからない革新的な(そしてリスクが非常に大きい)事業」なのだから。

そして、そうした事業においては、「銀行からの借入れ(デット)」でなく、大きなリスクが取れる「株式(エクイティ)による資金調達」を志向しなくてはならない。

そうはいっても、まだまだこういった志向にはなっていないと思う。

問題は、Wadhwa氏が指摘するような思想の変更や法律の改正というよりも、日本の社会人や学生全体に「新しい時代に必要なファイナンスの知識が無いこと」なのだ。

リスクを大きく取るために株式で投資を受けられないか? 必要な設備投資を減らして銀行の借入れを減らせないか? 借入れをどうしてもしなければいけない場合には、社長が個人保証しなくていい方法は無いか? そもそも全く別の、銀行から資金を借りなくていいタイプの事業をやった方がよくないか......?

まずは、そういったことを考え、専門家や経験者の指導もあおいで、できる限り、「失敗しても大丈夫な態勢」を整えるべきなのである。

これは「もう態勢として日本にも十分あるのに、一般の人に知識がいきわたっていない」ということだろうか?それとも、「まだ態勢として不十分」なのだろうか?前者だとしたら、私もこのあたりの知識は全く不足しているので、知識として知りたい。

ということで、これを書かれた方の本を、書店に探しに行ったけれども品切れ中だった。

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このページは、が2010年10月25日 14:19に書いたブログ記事です。

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