2010年10月31日放送、がっちりマンデー からのメモ。
このホームページでは、検索エンジンからのアクセスがあるのだが、訪問してくるキーワードでうんざりさせられることがある。
「事業計画書 無料 相談」
というようなキーワードでこのホームページを訪問する人が少なからずいることに驚かされる。
「無料でものすごく収益性の高い事業計画書のアドバイスをくれる人」が現れることを期待するのは、「数百円で買った宝くじが大当たりする確率」よりもかなり低い。
「事業計画」というのは、自分が行っている事業の根幹にかかわるもので、それを「無料で」自分にとって都合のよいアドバイスをくれることを期待する人というのは、根本的に「価値」というものに全く理解が無い人で、成功は難しいだろう。
アマゾンなどの起業関連の本の中では、以前からかなり評価が高い本。
パイを焼くことを仕事にしているサラを主人公にして、物語的に起業をする際に、起こりがちなことや目指すべき方法性などを分かりやすく示している。
「あなたの事業はあなたの人生ではない」
「起業家」「職人」「マネージャー」という三つの人格が共存しにくい
あなたがいなくても会社が回る仕組みにする
仕事を移譲するのはよいが、管理を放棄してしまってはいけない
事業のパッケージ化
など
アメリカの起業家研修や、経営コンサルタントが教える内容がよくわかる内容になっている。
自分で事業を始める前、始めた後にそのプロセスで起こった問題などを確認する際に読むぺき本。必携。
横浜ベイスターズの売却が破談になったとの報道があったので、そのあたりのことについて自分(企業買収等に関しては全くの素人)の知識で今感じることをメモ。
・ピカピカの高収益企業を売却するという発想があまりない
アメリカの起業家研修では、ビジネスプランを作る際「どのように EXIT するか」ということを考えるように指示されるが、その際「資金力のある他社に価値が高い状態で売る」ということも有力な選択肢としてある。
たとえば、IT分野で起業をしたとして、アメリカではマイクロソフトやグーグルといった超有名企業に吸収合併してもらうというようなことを目指すことも多いが、日本でソフトバンクや楽天に買収してもらうというようなことを目標にしている会社は多くなさそう。(ライブドアショックの直前には少し広がった考え方かも。)教育として「一国一城の主」とか「鶏口牛後」、「個性の時代」というようなことが影響?
大型の企業買収の話は、多くの場合は収益性が低くなって全く立ち行かなくなった企業の救済の話が多いようなイメージ。もちろんアメリカでもそういう話も多いと思うが、「にっちもさっちもいかなくなる」前の段階、たとえば赤字が出た瞬間に大規模なリストラをするとか、赤字転落する前の企業価値がまだ高い段階で売却をもちかけるという話になりそうで、日本の会社ほどひどい状態で売りには出なさそう。
・売る側が「売りはらった後のこと」に対して細かく条件をつけるらしい
横浜ベイスターズ買収の件では、「球団人事に手をつけるな」「本拠地は移転するな」ということを、売る側のTBSが条件をつけたとのこと。
買う側にとっては「経営陣をどうするか」とか、「どこを対象顧客に対して商売をするか」ということは、今後の収益性や企業価値にかかわる最も重要なこと。それを経営が立ち行かなくなって「とにかく買ってほしい」と思っている売り手側が条件を付けるというのは非常に不思議な感覚。特に日本では、終身雇用の考え方がまだ根強いので「リストラ」「人員削減」ということに対して、強烈な拒否反応があって、「リストラをしない」ということが売却の条件になることもあるらしい。
オーナーが代わるということ自体が文字通り「リストラ」で「構造が変わる」ということだし、会社の収益性で人件費というのは最もコストのかかる部分でもあるので、そこをいじらずに構造を変えることはかなり無理な注文。それでうまく行くなら、「売らずに自分が何とかしろ」という話。自分は赤字会社を売り払って対価を得ておきながら、うまく行ってない赤字会社の状態を「そのままにしろ」と条件を付けて、買ってくれた側に押しつけるというのは普通は通らない。
・ほぼ無関係の外野が「理念」「文化」「伝統」といったことにうるさく、買収しようとする側のイメージが強烈に低下する
今回の横浜ベイスターズの件では、神奈川県知事が
「自分の会社の宣伝さえできればいいという論理に大きな違和感を覚える」
「一時代前の感覚。企業の宣伝のために使うやり方ではプロ野球自体が発展していかない」
と発言したとのこと。
これに限らず、ただの民間企業同士の話で、何かと「理念」「文化」「伝統」ということが外野で議論されやすい。民間企業である以上は、収益性の高い事業を運営して維持していかなければならないのに、企業の買収などの話が持ち上がると必ずこういったことが議論になる。
顧客(ファン)が、このような「理念」「文化」「伝統」などに価値を感じて商品・サービスをお金を出して買ってくれたり、スポンサーになってくれるのであれば収益性も上がるのだけれども、基本的にこういうことをいう人たちほど外野でお金は出さない。
厄介なのは、マスコミなどでこういったことが報道されると、世論は「理念」「文化」「伝統」という得体のしれないものを支持して(というより、マスコミがそういう方向で報道するので)、「経営に失敗して売りに出した側(しかも今回は売主がマスコミそのもの)」でなく、本業をしっかり行っていて、買収して救済しようとする側の方のイメージが低下してしまう。
結局、今回の件は破談になったということなのだけれども、通常は「収益性の無い企業」を買収してくれる企業もなくなった場合には、いずれ倒産ということになる。倒産してしまうと、社員は全員職を失う、少なからずいた顧客も商品サービスが買えなくなる、株主も会社の価値が全く無価値化して大損をする。売る側が落とし所を間違えて、自分たちが望まなかった最悪の状況になってしまうという話が日本では多そう。
もっとも、アメリカ人の起業の考え方として、
「だらだらと悪い状態の会社を続けるよりは一度リセットのためつぶして、ゼロから全く新しくリスタートするのも悪くない」
という考え方も多いようなので、「売却の交渉がうまくいかなかった」ということが必ずしも悪いわけでもないのかも。
「将来起業したい」という人に会うことが多いのだが、そういう人たちが起業するときの前提としているのが、「○○になったら起業する」ということがある。
この○○というのは、たとえば
「貯金が○○円になったら起業する」
「○○歳になったら起業する」
といったような感じ。
こういう人に「どんな商品・サービスを提供して起業するつもりなの?」という話をすると、ほとんどの場合「それはまだ決めていない」という返答になる。これは非常に危険。なぜなら、貯金がいくらであるとか、起業する年齢が何歳であるとかは、ビジネスを立ち上げて成功するための要素では全くないから。
起業をするときに「顧客がいること」の検証が十分に行われていないビジネスというのは、結局失敗に終わってしまう可能性が高い。顧客がいれば今現在貯金がいくらであろうと、○○歳以下であろうとうまくいく人はうまくいく。逆に、貯金がいくらになったとか年齢が何歳になったからといって、自分に収入をもたらしてくれるビジネスが突然目の前に現れて出てきてくれるわけではない。
いま定期的な収入を得られる仕事があって、それでも独立して起業をしたいのなら、顧客がいるかどうかの検証を「週末起業」的な方法で実践をしてから、本当に十分な収益があげられることが確認できてから始める方が良い。(大多数の「週末起業家」はただの小遣い稼ぎ目的のクズばかりで、あまり個人的には好きではないけれども)
お金が足りなければ、しっかりとしたビジネスプランを立てて銀行とかから借りる等の手段もあるし、年齢が足りないと思うなら年長のアドバイザーについてもらうなどすればよいのだから。
どうしてもやりたいこと、自分のミッション(使命)として社会に提供すべき価値を感じるものがあって、いま収入を得ている仕事がそのミッションとが全く関連しないのであれば、すぐにでも仕事はやめるべきだが、もし単純に「起業家」というポジションにあこがれているのであれば、それほど甘いものでもないので、やめておいた方が良いです。
ネットや各種メディアの情報なども参考にしながら、起業関連のトピックを記録していくブログにしようと思います。よろしくお願いします。