ビジネスをスタートして、事前に予測していなかった要因によって、困難や危機が起こることは防ぐことができないことです。そして、そういった困難や危機が発生したときに、それが「事業に与える影響」を正確に理解することは非常に重要な事柄といえます。
これまであげてきた様々な要因によって危機が発生した際に影響が及ぶこととしては、簡単には以下のようなものがあります。
・社会的な評判の低下(新規顧客の獲得が困難)
・顧客からの信用の低下(売り上げの低下)
・取引先企業からの信用の低下(取引の停止)
・従業員の士気の減退(生産性の低下等)など
これらいずれの現象が起こったとしても、事業の最終的な評価指標となる「事業収益」に大きな影響を及ぼすことになります。
小規模で事業を行っている段階の起業家に限らず、誰もが知っている成熟した大企業でさえ、何かしらの危機が起こった際に「事業に与える影響」を読み違え、誤った対応を行ってしまったがために、事業全体に大きなダメージを受け、時には倒産にまで追い込まれるケースは数多くあります。
危機対応に失敗してしまうケースでは、大きな危機へと発展しうる出来事が起こったときに、
「そんなことが起こるはずがない」
「それほど大した問題ではない」
といった、「危機を危機として認識しない」ことによって、対応が遅れてしまうケースか、
「これに対応するのはコストがかかりすぎる(リコールなど)」
「問題は問題だが、ごまかして(隠して)おこう」
といった、「問題は認識していたが、それが事業に与える影響を見誤る」という、初期対応の誤りによるものが原因となることがほとんどです。
事業を行う上での危機的な状況というのは、事前に予測できないからこそ突然に起こるものです。そして、その初期の段階から対応を間違ってしまうと、その後での対応はさらに難しくなります。そのため、予兆と思われることが発生した時点から、適切な対応を行っていくということがきわめて重要になります。