経済状況(景気等)に起因する問題







 賞賛される起業家とは、いつでも世の中に対してエネルギッシュに新しい価値を積極的に提供していく存在であることが多いものですが、それでも、社会と完全に独立して存在しているわけではないので、起業家が行っている事業は、その時々の景気などの経済状況に少なからず影響を受けることになります。

 起業家がその事業において、危機的な影響を受けやすいのは、一般的には不景気の時です。世間的な景気が悪い際に、起業家が行っている事業がうける影響としては、たとえば次のようなものがあります。

・顧客の消費心理が落ち込んでいるので、直接的な売上が上がらない。
・売上減退のため、資金が不足しているが、金融機関からの融資が受けにくい。
・世間的な景気の悪化のために、主要な仕入れ先の取引業者が倒産してしまい、別の取引業者が見つからない。
・顧客企業の倒産のために、売掛金が回収できない
・大きめの債務を抱えている場合に、債権の回収に苦慮している金融機関から、突然大きな金額の返済を求められる(貸しはがし)。

 このように、世間的な景気が悪い時ほど、事業にとっても問題が起こりやすいものですが、逆に世間の景気がよい時にも、事業を行う上での困難となりうる要因は様々に発生します。

・顧客の需要に、供給が追い付かない。
・景気がよいため、人材がよりよい条件を求めて流出しやすい。
・売上の増加に伴い仕事が増えるため、採用を検討するも、人材獲得・雇用コストが非常に高い。
・原材料などが品切れなどで不足しやすい。仕入れ先が値上げを行いやすい。
・現在利用している施設費用が高騰する。賃料の値上げや、地上げのための立ち退きを要求される。
・資金が不足した際、借入を行うと、金利が非常に高い。

 起業家が事業を始めて、それを継続していく限りは、世の中の景気の変動などの経済状況には常に影響を受けるものですが、好況であっても不況であっても、困難や危機となりうる要因は存在している、ということがいえます。

 起業家が事業で何か困難に直面する場合は、それはすべて起業家の責任となるため、世間の景気に左右されることなく、自分自身の行っている事業のリスク分析やそれに対しての対応は、どんな状況でも行っていかなければならない事柄といえます。

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