何のためにビジネスプランを描くのか?







 ビジネスを始めるにあたって、起業家はビジネスプランを全く作らないよりも、作成したほうがよいことには間違いありません。ただし、絶対に書かなければならないものでもありません。それではなぜ、ビジネスプランを書いたほうがよいのでしょうか?それを簡単に考えてみることにしましょう。
ビジネスプランを作成する目的にはたとえば以下のようなものがあります。

 ・自分のため
 自分自身がビジネスを始めるにあたって、その実現性を確認する。ビジネスプランという形で書き出すことで、頭の中を整理する。

 ・顧客獲得のため
 提供する商品・サービスはある程度決まっているものの、具体的な顧客が見えていないような場合の計画を立てる。マーケティングプランを作成し、実行のためのガイドラインにする。

 ・投資家への説明のため(事業資金獲得のため)
 起業直後の事業資金が不足しているような場合に、投資家への説明のため。

 ・パートナーの募集のため
 事業を行うにあたって、不足しているポジションの確認と、適任者と思われる人に対して事業内容の説明のため

 ビジネスプランを「自分のため」だけに書くのであれば、それほどビジネスプランを丁寧に書く必要はありません。ただ、ビジネスとは必ず他者との関係があって成立するものですので、ビジネスを説明するために書くビジネスプランも、他人に伝わるものである必要があります。

 アメリカの起業家研修では、ビジネスプランの作成は、基本的には「投資家に説明ができる状態にするために書く」ことを前提としています。先に説明したとおり、アメリカの起業家研修での事業の究極の目的とは、「事業を売却できる状態にする(EXITする)」ことです。そのため、事業を始める前に起業家が作成するビジネスプランも、事業を売却する際に買ってくれる相手を意識して最も高く買ってもらえるようなビジネスにするために書くことになるのです。

 ビジネスプランというのは、自分のために書くにしても、投資家向けに書くにしても、実際に収益性の高いビジネスになって初めて、その秀逸さが証明されるものです。そのため、大枠の部分で作成ができれば、その後は実行に移すということが最も重要なこととなります。

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商品・サービス(提供する価値)の定義~これがなければ始まらない






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