Consulting is not entrepreneurial!!(コンサルティングはアントレプレナー的ではない!!)







 アメリカの研修では、多くの場合、講師と受講者が双方向的にコミュニケーショーンをとりながら講義が進みます。筆者が受講したMBAのEntrepreneurial Studyも例外ではなく、実際に自分でもビジネスを行い事業を売却した経験のある女性教授が、受講者全員に対して、

「どのようなビジネスを考えて、この研修を受けているのか?」

という質問をされました。そして、20人弱の受講者のうち半数以上が「コンサルティングを始めたい(すでに行っている)」という回答だった時に、その女性教授が言い放ったのが、次のような言葉です。

I am quite disappointed. Because, consulting is not entrepreneurial!
(私はすごくがっかりしました。なぜなら、コンサルティングはアントレプレナー的ではないからです。)

 これはもちろん、「コンサルタント」という職業を行っている人を否定しているわけではありません。「コンサルタント」という職業も、顧客に対して誠実にサービスを提供している限り、社会的にも貢献度の高い職業です。

ただ、「専門職的なプロセス」と「アントレプレナー的なプロセス」とは違うプロセスであって、特に「コンサルティング」というサービスの提供の仕方は、多くの場合、極めて属人的な要素が大きく、どちらかといえば「専門職的なプロセス」となりやすく、「アントレプレナー的なプロセス」に進みにくいのです。

 「コンサルティング」に限らず、「医師」「弁護士」など、自分自身が高い専門性を持ってサービスを提供し、それによって高い対価を受け取りながら活動を行っていくことも、社会的にも高く評価される活動で、当然に素晴らしい活動です。

 しかし、私たちが受講していたのは、「Entrepreneurial Study」のクラスだったわけですから、そのクラスでは「アントレプレナー的なプロセス」を説明していこうとしているのに、受講者の半数以上が本質的に志向しているビジネスが、「アントレプレナー的なプロセス」ではないものを志向していたので、「がっかりした」のです。

 「専門職的なプロセス」というのは、ビジネスとしては成立するものの、どちらかといえばスモールビジネスにとどまりやすく、そのビジネスに巻き込む人の数も少なくなりがちです。それに対して、「アントレプレナー的なプロセス」というのは、できるだけ多くの人も巻き込みながら、事業をシステム化し、拡大していくプロセスを志向しています。

 「専門職的なプロセス」を志向するか、「アントレプレナー的なプロセス」を志向するかは個人の選択でしかありませんので、どちらを選ぶのも自由ですし、どちらを選択しても正しい選択です。ただし、コンサルティングのようなきわめて専門性の高い職業というのは、「アントレプレナー的なプロセス」とは全く性質の違うプロセスである、ということの認識はしておいたほうがよいでしょう。

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「専門職的なプロセス」による起業を推奨しない理由






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