スタートアップ時は「必要」「緊急」「痛み」のあるビジネスのほうがよい







 ビジネスを始める前に絶対に必要なことは、何をおいても検証しなければならないのは、

「客がいるか?客がいるか?客がいるか?」

です。それでは「客がいる」「売れやすい」ビジネスとはどのようなビジネスでしょうか?最も望ましいのは、

「必要(necessary)」かつ「緊急(emergent)」かつ「痛み (pain) を伴う」

ビジネスです。そして、こういった「必要で、緊急で、痛みを伴う」ビジネスは、多くの場合「既存市場」が存在して、既存参入者がいます。なぜなら、必要なものが存在しないと、市場の人が困ってしまうからです。

 簡単な例をあげると、トイレの水漏れ、病気・介護、車の故障などに対応するサービスなどです。また、男性からすると、あまり「必要でも、緊急でも、痛みを伴うものでもない」ように見える女性向けのダイエット関連の市場というのも、女性の感覚からすると「必要で、緊急で、痛みを伴う」ビジネスです。子供を持つ親御さんかいる場合には、「絶対に学期末の試験で成績を上げなければならない」という需要がある場合の学習塾などもこの類です。要は厳密な意味で「必要で、緊急で、痛みを伴う」ということではなく、そう感じる人が多い市場が「客がいる」「売れやすい」ビジネスです。

 当然こういった市場は既存市場なので、すでに参入している人も多くいて、競争も激しいビジネスであるケースも多いものですが、それでもビジネスのスタートアップに絶対に必要な「客がいる」ということが明らかな市場なわけですから、うまく入り込むことができた場合には、継続的な売上が期待できることになります。

 「必要」「緊急」「痛みを伴う」ビジネスは、その性質上、既存市場であることが多いのですが、あるタイミングで急にこういう市場が出来上がることがあります。「法律で何かが義務化されるような場合」などがそれにあたります。日本では米国などよりも法律が過保護でいろんな規制が多い国ではありますので、こういったタイミングも起業には良いタイミングといえるかも知れません。(ただし、こういった法律の多くは、既存の大手企業や官公需依存の企業、省庁の外郭団体、天下り法人などに有利な仕事を作るための政策として作られることも多いため、参入が制限されていることも多いのですが。)

 逆に、「誰もやったことのない全く新しいこと」や「やりたいこと」、「面白いこと」では、ビジネスのスタートアップに失敗しやすいものです。なぜなら、こういったビジネスは、簡単にいえば「必要」でも、「緊急」でも、「痛み」もないビジネスのため、「客がいない」、「客が見つかりにくい」「見込み客が見つかっても買わない」ビジネスである可能性がたかいのです。

 また、「既存市場で参入しやすい」けれども、「必要でも、緊急でも、痛みを伴うものでもないビジネス(タクシーや歓楽街など)」というのもあります。こういったビジネスは、景気に左右されやすかったり(必要ではないので不況で需要がなくなる)、競争が激しかったりするので、仮にビジネスが立ち上がってもリスクを認識しておく必要があります。

次ページ
適切な客はどこにいるのか? 具体的には誰なのか?






次ページ
適切な客はどこにいるのか? 具体的には誰なのか?

起業関連本