客さえいればビジネスはスタートできる







ビジネス・スタートアップが成立するための必要条件は「客がいること」です。それ以外のこと、たとえば、

「学歴」、「資格(知識)」、「華々しい経歴」「人脈」「お金」

などは、基本的には「あったほうがよいもの」ということになるでしょう。これらの「あったほうがよいもの」がいま、全くない人であったとしても、顧客さえいればビジネスはスタートできます。たとえば、
 「高校中退(中卒)、資格なし、商売経験なし、身寄りもなし、貯金も全くない」という女性がいたとします。その女性に対して、「ただ会って話すだけ」という行為に対して、何らかの価値を見出し、継続的にお金を払う人が何名もいる場合には、それでビジネス・スタートアップは成功します。

 逆に「あったほうがよいもの」をたくさん持ち合わせている人、たとえば
「東大卒業、司法試験合格・弁護士資格あり、学生時代の同級生等友人多数、貯金額大」という人がいたとして、その人の行っていることに全く顧客が付いていなければビジネスですらないということになります。

 最近、スモールビジネス向けのコンサルタントなどがよく使う言葉にUSP(Unique Selling Proposition)というものがあります。これは、日本語で簡単にいえば「独自性をアピールできる点」というような意味です。そして、それらのコンサルタントがセミナーなどで「中小企業はUSPがなければならない」というようなことを言っているのを頻繁に耳にするようになっています。しかし、これもビジネス・スタートアップという観点から行くと、単に「あったほうがよいもの」にすぎません。

 お客さんがあなたから何か商品やサービスを購入するとき、そのお客さんは、
「あなたから買いたいとおもって、買うと決めたから買う」
だけです。この「買うと決める」という前の段階で、あなたに独自性があるかどうかを考えることはない場合もあるでしょうし、あなたに独自性があることは分かったとしても買わない場合もあるでしょう。

 つまり、お客さんは、理屈で物を買っているわけではなく、むしろ個々人の判断基準に基づいて、最終的には情緒的な感情によって購入を決定して実行に移しているということになります。

 このように、ビジネスを始めるのに、本質的には「客がいるか」が必要かつ十分な条件であって、「知識があるかどうか」は、成功の一要因でしかありません。だからこそ、アメリカの起業家研修では、日本のセミナーや研修などでよく行われる知識を詰め込むためだけの座学などではなく、より実践的な「顧客がいるか?」ということを重視し、その確認作業を行っていくことになります。

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なぜ起業するのか? やりたいことは何なのか?






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