より切実なアメリカの起業ニーズ







 アメリカの起業ニーズは、日本の起業のニーズよりもより切実なものが多いため、「起業」に関しての研修・セミナーにおいても、より実践的な内容になります。

 日本では、有名な東証1部上場企業に新卒で入社すると、現在でも原則的には「終身雇用」で、一度入った会社に定年まで勤めあげることを前提としています。最近は「転職」や「起業」のブームや、不況によるリストラ・派遣切り・新卒採用の内定取り消しなどで、そういった前提も少しずつ変化しつつあるとは言え、依然として一度入社した会社で安定的に生活していくという前提が全くなくなった訳ではありません。

 一方、アメリカでは大企業に正社員として入社したからといって、その雇用が定年まで維持されるという保証はほとんどありません。筆者は、数年間ほど当時の株式時価総額世界一のアメリカの大企業のグループ会社(日本法人ですが)の正社員として働いていたことがあります。その会社の年次評価制度は、簡単に言うと4段階評価となっていて、

1(最高評価 全体の 5%~10%程度)
2(良評価 全体の15%~20%程度)
3(普通の評価 全体の50%~55%程度)
4(悪い評価  全体の20%程度)

という評価を毎年下されることになるのですが、上位の評価を繰り返す人は社内でもどんどん出世していくことになりますが、逆に一番悪い4の評価を2回以上受けてしまうと、ほぼ会社にはいられなくなるという人事制度となっていました。

 高い評価を受ける人たちは、高い評価を受けたまま自社に留まるということも少なく、他の大企業に引き抜かれたり、独立してビジネスをしたりすることも多くあります。逆に下位の評価を受ける人は、一度最低ランクの評価を受けてしまうと、どうしてもそれ以降「突然人が変わって上位評価をうけるようになる」、ということは少ないため、すぐに「会社にいられなくなる」ということになります。そのため、人材もかなり頻繁に入れ替わり、3年もいれば半分以上の人が入れ替わっているというのが珍しくなく、むしろ普通のことといった状況とさえいえます。最近になって日本の大企業などで問題になりつつある、「リストラ」とはご存じのとおりオリジナルは英語の言葉ですので、アメリカのほうが日本より頻繁に行われることです。

 また、アメリカの社会では「会社員である」というだけで、健康保険や年金、退職金を何も考えずに会社がやってくれるということはあまりない、と考えなければなりません。基本的には社会の前提として「とにかく自分で何とかしなければならない社会」であるということが言えるでしょう。そういった社会環境のため、「自分でビジネスをする・起業をする」ということがより身近なニーズとしてあることになります。

 現在の日本も、今まさにそういった社会に近づきつつあります。そのため、何年も前に私自身が受けた「Entrepreneurial Study」がより実践的に日本でも役に立つという時期に入りつつあると言えるでしょう。

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「起業」という言葉の定義について






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