起業家は、ビジネスをスタートした直後から、さまざまな決断を自分で行わなくてはならなくなります。そして、その決断の結果、発生する事柄についての全責任を背負うことになります。
しかし、特に「困難」や「危機」に直面したときなどには、なかなか「決断」自体が行えないということが起こりやすくなります。起業家が、さまざまな状況の中で「決断が行えない理由」にはたとえば以下のような理由があります。
・決断の結果に責任を持ちたくない
・決断した実行した結果の、「うまくいった場合の成果」や「うまくいかなかった場合のリスク」が想定できない
起業家は、事業を行う上でのすべての責任を引き受けていかなければならない存在ですので、自分が前者のような「決断の結果に責任を持ちたくない」タイプの人であれば、起業自体を行わないほうがよいといえるでしょう。
また、後者のような「うまくいった場合の成果」や「うまくいかなかった場合のリスク」が想定できないのは「自分で直接情報を収集していない」ということに起因していることが多くなります。
「決断」をするための「情報収集を全く行っていない」場合には、当然決断はできません。また、マスコミやインターネットなどの二次情報などによって情報収集が行われてしまうと、その情報の確度が非常に低いものになってしまいがちなため、想定される結果の確度も漠然としてものになってしまいます。確度の高い決断をするためにも、起業家は自分自身で常に一次情報を収集し、その上で決断・実行していくべきであるといえます。
起業家は「リスクをとる人」ではあっても、「リスクを考えない人」や「ギャンブラー」ではあってはなりません。起業家はビジネスを行う限りは、破たんさせうるリスク要因をすべて排除し、「絶対につぶさない」ということが最低条件になります。そのためにも、常に「自分自身で情報収集する」ことは必要なことといえます。
逆に「自分で情報収集」した結果、「実行することのリスクが少なく(とれる範囲内で)」「やる価値が高い」というような状況にあるにも関わらず、「リスクが少しでもある」ことを恐れてしまい、決断が行えないというケースがあります。
しかし、「実行するリスクが全くない」ものには通常はたくさんの人が参入してくるため、期待できる成果がきわめて小さいものとなります。このような決断が繰り返される場合には、ビジネスが常に「現状維持」以下にとどまってしまうことになります。しかし、変化の激しい現在のビジネス環境では、新たな決断を行わない場合は、ビジネスは後退してしまうことが多くなります。
起業家は「リスクを常にしっかりと考える人」である上で、「リスクがとりうる範囲内」であり、しかも「やる価値が非常に高い」と思われる場合には、「リスクを取って」それにチャレンジしていくべき存在といえるでしょう。