最近では、経営やマーケティングなどに関しての情報はいろいろな媒体から入手できる状態となっています。特にインターネットの出現によって、その環境は大きく変わりつつあります。インターネットで得られる情報の中には、10数年ほど前には考えることもできなかったような、
「超有名大学のMBAで教えられるような専門知識」や
「高額なセミナーでのみ公開されていた情報」
などが非常に安価で簡単に入手できるようになっています。
しかし、インターネットなどによって情報収集の手段が発達したからといって、そこで得られる情報が起業家にとって有益であるとは限りません。起業家が行う事業にとって「最も有益な情報」というのは、他者が収集した「二次情報」の中にではなく、自分自身で顧客や市場と直接的に接することによって得られる「一次情報」の中にあることのほうが圧倒的に多いからです。
そのため、アメリカの起業家研修においては、その中でのマーケティングリサーチのなどの講義では、必ず一次情報を自分で取得(プライマリーリサーチを実施)する課題が出されることが多くなります。起業家自身がおこなうプライマリーリサーチによって「参入しようとしている市場の具体的な見込み客と想定される人」に直接接触して、「提供しようとしている商品・サービス」に対して「どのような印象を持つか?」、「本当に買うか?」という情報を実際に収集し、行おうとするビジネスが成功するかの確証を得ていくことになります。もし、そのプライマリーリサーチを行ってみて、本当にうまくいくという感触が得られるのであれば、すぐに起業を実行に移すことになります。
インターネット上でGoogle やYahoo!などの検索などによって集められる情報には、有益な情報も多いものですが、誰が書いたかもわからない匿名の意見なども多いため、いかに内容に説得力のあるものであったとしても、そういった出どころの分からない情報のみを信用して事業を行うということは、非常に危険なことといえます。
起業家は知識として理論や情報を蓄積するだけでは、事業の立ち上げに成功することはありません。それを基にした「決断」「行動」が伴って初めて成功することになります。事業を行う以前の調査の段階から、自分で直接的な行動することなく、二次情報のみでの情報収集を行ったのでは、多くの場合には「決断・実行のための情報」とはなりにくく、ほとんど有意義なものとはならないのです。
また、「情報の収集」や「行動」には、そのタイミングも非常に重要です。市場の価値観がきわめて速く変化する昨今の状況においては、あるタイミングで実施したプライマリーリサーチの結果が良好なものであって、市場も大きいものであろうと確認が取れたとしても、それをすぐに実行に移さず、あとになってその市場に参入しようと考えたとしても、その際には、全く状況が変わってしまっていて、全くうまくいかない可能性のほうが高くなります。
そのため、起業家は、自分で情報を集め、すぐに決断し、実行に移す人であることが重要であるといえます。