社会的な使命感(Mission)を持っていること







 起業家が「虚偽」や「不誠実なこと」を行ってしまいやすいのは、事業上で何かしらの困難や危機が発生するときです。起業家が困難や危機に直面してしまった際に、「正直さ」や「誠実さ」を失ってしまいやすいのは、起業家が自分自身への利得への関心のみが強く、社会的な責任感や使命感が希薄であることが原因として挙げられます。

 事業を始めたばかりの起業家の場合、事業の立ち上がりの段階では、その収益性さえ確保できない場合も多くなります。そのような場合、自分の目の前にある仕事に追われることが多く、抽象的な議論による「自分の社会的な責任感」や「使命感」を考える、ということは難しいといえるかも知れません。

 しかし、事業がたちあがって、顧客、従業員、出資者等の利害関係者が増えてくれば、その事業を行うことによる社会性は否応なく広がってくるものであり、また広い社会的な視野による使命感があるほうが事業の目標や方向性も定め安くなるため、起業家は事業を開始する段階からその使命感というのを持っておいたほうがよいといえるでしょう。

 起業家に限らず、誰もが知っている大企業などにおいても、自己の経済的利得を最大化するために、社会的な貢献の意識がきわめて希薄な行動をとり、社会問題化することも多いため、近年では

「企業の社会的責任(CSR : Corporate Social Responsibility)」

ということが声高に叫ばれるようになってきています。世界的に有名な企業においては、そのホームページなどでCSRのコーナーを設置し、積極的にアピールされるようになってきています。

 ただ、このような「企業の社会的責任」をアピールするグループや団体の一部においては、自分たちが行っている社会福祉などの活動こそが「社会的な責任を果たす活動」であると主張し、通常の経済活動によって大きな利益を上げている企業などに対しては

「金を儲けること=悪いこと」

というような論理的な枠組みで、企業の経済活動を非難するようなこともあります。しかし、これは実際には正しくありません。

 起業家が行う社会的な貢献の活動というのは、まずは通常の商取引という経済活動をベースに行われることになります。起業家が通常の経済活動を通じて、「顧客にとって価値のある商品・サービスを提供」し、その活動の中で「従業員を雇用し生活のための収入源を提供する」といった経済活動は、最も基本的な社会的な貢献活動といえます。また、福祉活動などに対して行政などから提供される資金も、もとをたどれば通常の経済活動を行った上であがった利益から税金や寄付などの形で徴収され、配分されているのです。

 起業家の最も基本的な社会貢献活動とは、顧客に対して「具体的な」「価値の提案」を行い、それが受け入れられる、という一般的な商取引の中にあります。起業家はこのような具体的な経済活動を誠実に行った上で、その活動を通じてさらに社会的な広がりを持った使命感を持つということが必要であるといえます。

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自分で情報を集め、すぐに決断し、実行する人であること






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